はじめに
今回はBIM/CIMを実施するにあたり推奨されるスペックを調査し、要求性能をまとめました。
それをふまえて現状発売されているモデルからおすすめのPCをいくつかご紹介します。
必要スペック
Autodesk®の代表的なソフトウェアの要求性能
BIM/CIMに用いる代表的なソフトウェアの公式ページに記載されている推奨スペックを整理します。
Civil3d 2022®
・CPU
最小構成: 2.5 ~ 2.9 GHz のプロセッサ
推奨: 3 GHz 以上のプロセッサ
・GPU
基本: 帯域幅 29 GB/秒の 1 GB GPU (DirectX 12 互換)
推奨: 帯域幅 106 GB/秒の 4 GB GPU (DirectX 12 互換)
・メモリ(RAM)
16 GB 以上
参考:Autodesk公式HPより(リンク)
Revit 2022®
・CPU
Intel® i-Series、Xeon®、AMD® Ryzen、Ryzen Threadripper PRO。2.5 GHz 以上
・GPU
規定なし
・メモリ(RAM)
8 GB 以上
参考:Autodesk公式HPより(リンク)
NavisWorks 2022®
・CPU
3.0 GHz 以上のプロセッサ
・GPU
Shader Model 2 を搭載した Direct3D 9® および OpenGL® 対応グラフィックス カード(最低)
・メモリ(RAM)
2 GB の RAM (最小)
参考:Autodesk公式HPより(リンク)
InfraWorks 2022®
・CPU
デュアルコア Intel® Core™2 または同等の AMD プロセッサ(クアッドコア Intel® Core™ i7、6 コア Intel® Xeon® 以上を強く推奨)。レイトレーシング レンダリング機能を使用するには、CPU が SSE 4.1 をサポートしている必要があります
・GPU
DirectX® 10.1 対応グラフィックス カード、2 GB (以上)のグラフィックス メモリ搭載、8x 以上アンチエイリアシング(8x AA)対応。デスクトップ の場合は NVIDIA Quadro® 5000 または 6000、ラップトップの場合は NVIDIA Quadro 2000M または GeForce® GT 650M など(最低: DirectX® 10.1 対応グラフィックス カード、1 GB のグラフィックス メモリ搭載、2x 以上アンチエイリアシング(2x AA)対応)。
・メモリ(RAM)
最小で 8 GB の RAM (16 GB 以上を推奨)
参考:Autodesk公式HPより(リンク)
CUG(Civil User Group)の推奨スペック
CUGがCIMに必要なワークステーションの推奨スペックを調査した資料が公開されています。
参考:CUG認定 CIM推奨構成ワークステーションより(リンク)
資料のまとめは下記のようになっています。
512GB以上のSSD搭載、32GBメモリは必須。CPUはコア数よりもクロック数。グラフィクスはInfraWorksで扱うモデルの大きさ次第!
必要スペックのまとめ
以上をまとめると、推奨スペックは下記のようになります。
初級者スペック(モデルの閲覧と微修正に限定)
・CPU
Intel® i-Seriesなど、クロック数は3.0GHz以上
・GPU
Nvidia Quadro P620など
・メモリ(RAM)
16 GB 以上
中級者スペック(通常規模のモデリングや統合モデル作成など)
・CPU
Intel® i7®・i9®など、クロック数は3.0GHz以上
・GPU
Nvidia Quadro P2000など
・メモリ(RAM)
32 GB 以上
上級者スペック(大規模なモデルのモデリングなど)
・CPU
Intel® Xeon®、クロック数は3.0GHz以上
・GPU
Nvidia Quadro P5000、RTX 5000など
・メモリ(RAM)
64 GB 以上
その他
・ストレージ
BIM/CIM用ソフトウェアは非常に容量が大きいソフトウェアであることが多いです。そのため、ソフトウェアを格納するストレージは十分な容量(最低500GB)を確保する事を推奨します。また、ストレージにSSDを用いると、ソフトやファイルの読み込みが早くなるためおすすめです。
また、BIM/CIMのモデルは大容量であることが多いためソフトのシステム領域とは別に十分な空き容量が必要です。以上をふまえ、ストレージはSSD750GB以上を推奨します。
・GPU
Autodeskで公式に認定されているGPUはNvidia GeForceという様なゲーム向けのGPUではなく、Nvidia Quadroといったようなプロ向けの製品ばかりです。これらのGPUはゲーム向けのGPUに比べ生産量が少なく、コストパフォーマンスに優れない傾向があります。Autodeskの推奨を無視する形になるため、手放しでおすすめはできませんが、コストパフォーマンスの優れたNvidia GeForceを選択するのも有りだと個人的には考えています。ちなみに私も、日常のBIM/CIM業務でNvidia GeForceを搭載したPCを使用しています。
・メモリ
各ソフト個別の推奨スペックを見ると16GB(Civil3d)などとなっておりますが、実際の業務ではそれらソフトを単体で使用することは稀であり、ブラウザ、表計算ソフトなど複数のソフトを同時に立ち上げることが一般的です。それを考慮すると、メモリは32GBは欲しいところです。
おすすめモデル
初級者スペック(モデルの閲覧と微修正に限定)
★デスクトップPC
★ノートPC
中級者スペック(モデリングや統合などBIM/CIM業務を行う上で必要なスペック)
★デスクトップPC
★ノートPC
Precision 5760 プラチナモデル(大容量メモリー・大容量SSD・グラフィックカード搭載)318,225円
上級者スペック(大規模なモデルのモデリングなど)
★デスクトップPC
★ノートPC

HP ZBook Fury 15.6inch G8 Mobile Workstation 最大128GBメモリ、NVIDIA® RTX A5000グラフィックスを搭載可能。 第11世代インテル® Core™ i プロセッサー採用。最もパワフルな15.6インチモバイルワークステーション。

HP ZBook Studio 16inch G9 Mobile Workstation ハイエンドグラフィックスNVIDIA® RTX A5500を搭載可能。第12世代 インテル® Core™ i プロセッサー採用し、創造力を解き放つクリエイティブ環境を実現
※番外編
コスパの良いゲーム用のGPU(GeForceなど)を積んだゲーミングPCを採用する方法もあります。本来ゲーム用GPUは高いリフレッシュレートに最適化されており、CADのような精密・高彩度が求められる作業向けではありませんが、ゲーム用のGPUはコスパが良いため予算次第で選択肢に入れても良いと個人的には思っています。
動画の要点は以下のようです。
・Geforce GTX1070に使用されているプロセッサと同じものがQuadro P5000にも使われている。
・にも関わらず価格はP5000の方が3倍くらい高い。
・Quadroは特殊な機能が追加されているがそれらは通常用途で使用しないものばかり。
・Geforceでベンチマークテストは十分に動いていることが確認できる。
・Autodeskの公式サイトにQuadroしか乗っていないのは大人の事情。
・結論コスパの良いGeforceを使用したほうが良い。
↓Geforceを搭載した高コスパハイスペックPC
★デスクトップPC
★ノートPC
まとめ
Autodeskの公式HPとCUG(Civil User Group)の公開情報をもとに、BIM/CIM業務を実行する上での推奨PCスペックをまとめました。
またそれを踏まえて筆者が個人的におすすめするPCを選定しました。
PC選定の参考になりましたら幸いです。
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